口腔がん小線源治療の医師の被ばく低減

 口腔癌の小線源治療は患者には低侵襲ですが,医師の被曝の危険があるため普及が進んでいません. そこで遠隔で小線源を刺入するための装置を開発しています. 前立腺癌の小線源刺入のための遠隔装置はすでに実用化されていますが,前立腺の場合と異なり, 舌などの柔軟な口腔内器官に適切な張力を加えて保持し刺入する必要があります. Fig. 1 (1)に示すような口腔内器官を保持しつつ小線源を刺入する遠隔装置を開発しています. (2)は開発した装置による刺入実験の様子です.
小線源遠隔刺入装置

Fig.1 小線源遠隔刺入装置


 一方,このような遠隔刺入装置の開発には許認可に時間を要することが想定されます. そこで,より簡便な方法で被ばくを低減することも並行して考えています. アプリケータに線源を装填する際に医師は被ばくします. さらに治療中医師の傍らに10本程度のアプリケータが配置され,それらに装填された多数の線源からも被ばくしています. これらを改善すれば,現状の医師による刺入においても,完全ではありませんが比較的容易に被ばくを低減できます. そこで治療中刺入の度に線源を遠方よりアプリケータに装填する装置を考案しました(Fig. 2). 線源を予め送出側に整列させておき,一粒ずつ空気圧を用いて送出します.
小線源遠隔装填装置

Fig.2 小線源遠隔装填装置


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