模擬腫瘍内環境生成マイクロ流路デバイスを用いたがん細胞挙動観察

 がんは非常に治療が困難な疾病であり,がん細胞の研究は盛んに行われている.がんの治療が難しい原因の1つに,グルコースと酸素濃度が極端に低い環境においてがん細胞が悪性化することが挙げられる.この悪性化によりがん細胞は転移すると言われている.グルコースや酸素濃度,それらの相乗的な影響については未解明なことが多く,それらの影響を詳細に調べることは非常に煩雑な作業である.
 そこでMEMS技術を用いてグルコースや酸素の濃度を詳細に制御可能なマイクロ流路デバイスを開発した(図1).グルコース・酸素濃度勾配を形成したマイクロチャンバ内において,HeLa細胞の培養を行った(図2).24時間の観察において、低グルコース低酸素条件のHeLa細胞は通常培養条件に比べ、動きが大きく活性化した.

図1 グルコース・酸素濃度勾配形成マイクロ流体デバイス
図1 グルコース・酸素濃度勾配形成マイクロ流体デバイス
図2 グルコース・酸素濃度勾配下でのがん細胞の挙動
図2 グルコース・酸素濃度勾配下でのがん細胞の挙動

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