細胞の指向性進化を加速するマイクロ流路技術
 ダーウィンの進化論によると、生物は突然変異→自然淘汰→繁殖というサイクルにより、生物は進化してきた。この進化のスピードを速めることができれば、新しい特性を有する生物を生み出すことができる。つまり、適切な強度で突然変異を生み出し、適切な強度で淘汰すれば、生物の進化が加速する。そこで、細菌を封入した液滴に突然変異→自然淘汰→繁殖を繰り返し与えることで指向性進化を加速するためのマイクロ流路技術を開発している。その開発において、複数強度のストレス同時印加技術と進化サイクル繰返し技術が重要である。
 本研究では、繁殖スピードの速い大腸菌を用いることとし、有機物生産で望ましい耐熱性を有する細菌を作り出すことを目的とする。

複数強度のストレス同時印加技術
 耐熱性を有する大腸菌を淘汰により選別するためには、熱ストレスを大腸菌に一度に複数印加可能なマイクロ流路ぎじゅつが必要である(図1)。そこで、発熱量の異なるヒータを並列マイクロチャンバに実装し、複数温度を制御して大腸菌の活性を一度に評価した(図2)。

熱ストレス印加デバイス  熱ストレス印加デバイス
図1 熱ストレス複数同時印加デバイス。 図2 大腸菌活性の同時評価。


液滴の進化サイクル繰返し技術
 進化のサイクルである突然変異→自然淘汰→繁殖をチップ上で効率的に繰り返すため、液滴を順番に移送するマイクロ流路技術を開発した。液滴を並列マイクロチャンバに導入し、液滴を順番に送り返すことができた(図3)。

液滴順次移送
図3 並列チャンバからの液滴順次移送の様子。

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